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あまり感じたことはありません。

背景と目的:肺結核(TB)と慢性閉塞性肺疾患(COPD)との間の関連性は示唆されてきたけれども、COPD患者におけるTBの影響に関しての研究は施行されていない。TBの有無でのCOPD患者の重症度と臨床的予後を調べることを目的とした。

方法:2011年12月から2017年1月までに集めた韓国COPDサブタイプ研究でのCOPD患者1784人のデータを後方視的にレビューし、3年間フォローアップした。

結果:ベースラインでの1784人の間で、CATスコアとSGRQcスコアはTB既往の患者(n=468)は非既往患者(n=1316)よりも有意に高かった。呼吸機能はTB既往の患者はより不良であり、急性増悪の発症はより多かった。小規模フォローアップ研究において、3年を通してTB既往患者においてはCATスコア(n=318)、呼吸機能(n=182)はより不良のままであり、急性増悪の発症(n=256)はより多いままであった。TB既往群においてFEV1は低下(-0.57%/year)する一方、非既往群では改善した(+0.93%/year, P for changes between the groups = 0.076)。TB既往群では、胸部レントゲンでの肺病変の有無に関わらず、非既往群と比べて呼吸機能は不良であった。

結論:TBの既往はCOPDの重症度に消極的に影響し、小規模フォローアップ研究では変化は数年の間は維持されることが示された。

History of pulmonary tuberculosis affects the severity and clinical outcomes of COPD.
Respirology. 2018 Jan;23(1):100-106. doi: 10.1111/resp.13147. Epub 2017 Aug 27.
# by eijurespiratory | 2017-12-12 10:00 | COPD
ARDSと診断する際には、血液ガス検査は必ずやるような気もしますが。

背景:PaO2/FiO2のようなARDSの重症度の従来の測定法は臨床予後を確実に予測しないかもしれない。Oxygeneation inde(OI [FIO2 × mean airway pressure × 100)/PaO2])はARDSの重症度をより正確に反映するかもしれないが、動脈血ガス測定が必要である。Oxygenation saturation index (OSI [FIO2 × mean airway pressure × 100)/oxygen saturation by pulse oximetry (SpO2)])はOIに対しての信頼のある非侵襲的な代替指数であり、ARDS患者の院内死亡率と無人工呼吸器日数(VFD)と関連すると仮説した。

方法:ICU入室後最初の4日間の間でARDS(ベルリン基準)を発症し、ARDS発症日に平均気道内圧、SpO2/FiO2、PaO2/FiO2の値を記録された329人の重篤患者を前向きコホート試験に登録した。最も高い平均気道内圧と最も低いSpO2/FiO2、PaO2/FiO2値を使って、OIとOSIを計算した。OSまたはOSIと院内死亡またはVFDとの間の関連性をロジスティクス解析と線形解析を用いて解析した。死亡に対するAUCをOI、OSI、SpO2/FiO2、PaO2/FiO2、APACHEⅡスコアの間で比較した。

結果:OIとOSIは強く相関していた(rho=0.862; p<0.001)。OSIは独立して院内死亡と関連した(OR per 5-point increase in OSI, 1.228 [95% CI, 1.056-1.429]; p=0.008)。OIとOSIはそれぞれVFDの減少と関連した(OI, p=0.023; OSI, p=0.005)。死亡予測のAUCはAPACHEⅡスコア(AUC, 0.695; p<0.005)とOSI (AUC, 0.602; p=0.007)で最も優れていた。OSIに対するAUCは40歳未満の患者で十分により良好であった(AUC, 0.779; p<0.001)。

結論:ARDS患者においてOSIはOIと相関した。ARDSを診断した日のOSIは死亡の増加とVFDの減少と有意に関連した。OSIはOIの信頼できる代替指数であり、非侵襲的に予後の情報とARDSの重症度評価を得ることが出来ることが本結果からは示唆される。

Oxygenation Saturation Index Predicts Clinical Outcomes in ARDS
Chest. 2017 Aug 16. pii: S0012-3692(17)31395-8. doi: 10.1016/j.chest.2017.08.002.
# by eijurespiratory | 2017-12-11 10:00 | 救命
急性増悪の数を減らすことはやはり薬物療法の分野でしょう。

背景:既存のシステマティックレビュー(大半はランダム化コントロール試験)において、呼吸リハビリはCOPD急性増悪(COPDAE)のための入院を減少させることが示されてきた。しかしながら、コホート研究とその結果はあまり一致していない。本研究の目的は呼吸リハビリ前後でのAECOPDに対する治療目的の入院と外来診療の割合を比較することである。

方法:Clinical Practice Research Datalink and Hospital Episode Statisticsの匿名データを使って、AECOPDに対する入院と外来診療への受診に関して呼吸リハビリを提案された患者での呼吸リハビリ前1年間と後1年間で比較した。急性増悪率はまたは該当して呼吸リハビリを提案された患者と該当するも呼吸リハビリを提案されなかった患者の間で比較した。

結果:このコホートのCOPD患者の69089人(64%)が呼吸リハビリの適応であった。これらの内の6436人(9.3%)がリハビリテーションを受けたと記録されていた。62019人(89.8%)の患者が提案されず、634人(0.98%)が提案を断った。外来と入院での急性増悪を併せると、呼吸リハビリの適応で提案された患者は適応であるも提案されなかった患者よりも少しだけ急性増悪率が高かったが、統計学的には有意でなかった(2.83 exacerbations/patient-year; 95% CI, 2.66-3.00, 2.17 exacerbations/ patient-year; 95% CI, 2.11-2.24)。

結論:本研究からは呼吸リハビリの適応である患者の10%未満が現実的に提案されていたことが明らかとなった。呼吸リハビリの適応であり提案された患者は提案されなかった患者や呼吸リハビリを行う前1年間と比較して呼吸リハビリ後1年でのAECOPDに対する外来受診や入院がより少なくなったわけでなかった。

Effects of Pulmonary Rehabilitation on Exacerbation Number and Severity in People With COPD: An Historical Cohort Study Using Electronic Health Records
Chest Volume 152, Issue 6, December 2017, Pages 1188-1202
# by eijurespiratory | 2017-12-10 10:00 | COPD
間質性陰影がある患者さんに使ったことはありません。

背景と目的:タルクによる胸膜癒着術は難治性の胸水や気胸を管理する際に主に施行されている。限られた量の大分子サイズのタルクを使用する限り安全な手技として考えられている。しかしながら、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は稀であるが、タルクによる胸膜癒着術後の重篤な合併症である。限られた量の大分子サイズのタルクを使用した胸膜癒着術後にARDSを発症する危険因子を調べることを目的とした。

方法:東京大学病院でタルクまたはOK-432による胸膜癒着術を施行した患者を後方視的にレビューした。

結果:大分子サイズのタルク(≦4g)を使用して化学的胸膜癒着術を施行した患者は27人で、OK-432を使用して施行した患者は35人であった。27人の内の4人(15%)がタルクによる胸膜癒着術後にARDSを発症した。ARDSを発症した患者はしていない患者よりも高齢であり(中央値 80 vs 66 歳, p=0.02)、胸部CTにて間質性異常陰影を有していた(2/4 vs 1/23, p<0.05)。OK-432による胸膜癒着術後にARDSを発症した患者はいなかった。これは限られた量の大分子サイズのタルクを使用した胸膜癒着術後のARDSの最初のケースシリーズである。

結論:高齢であることと胸部CTでもともと間質性異常陰影を有していることは、タルクによる胸膜癒着術後のARDS発症の危険因子であるようだ。

Old age and underlying interstitial abnormalities are risk factors for development of ARDS after pleurodesis using limited amount of large particle size talc.
Respirology. 2018 Jan;23(1):55-59.
# by eijurespiratory | 2017-12-09 10:00 | その他
間質性陰影がある患者さんに使ったことはありません。

背景と目的:タルクによる胸膜癒着術は難治性の胸水や気胸を管理する際に主に施行されている。限られた量の大分子サイズのタルクを使用する限り安全な手技として考えられている。しかしながら、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は稀であるが、タルクによる胸膜癒着術後の重篤な合併症である。限られた量の大分子サイズのタルクを使用した胸膜癒着術後にARDSを発症する危険因子を調べることを目的とした。

方法:東京大学病院でタルクまたはOK-432による胸膜癒着術を施行した患者を後方視的にレビューした。

結果:大分子サイズのタルク(≦4g)を使用して化学的胸膜癒着術を施行した患者は27人で、OK-432を使用して施行した患者は35人であった。27人の内の4人(15%)がタルクによる胸膜癒着術後にARDSを発症した。ARDSを発症した患者はしていない患者よりも高齢であり(中央値 80 vs 66 歳, p=0.02)、胸部CTにて間質性異常陰影を有していた(2/4 vs 1/23, p<0.05)。OK-432による胸膜癒着術後にARDSを発症した患者はいなかった。これは限られた量の大分子サイズのタルクを使用した胸膜癒着術後のARDSの最初のケースシリーズである。

結論:高齢であることと胸部CTでもともと間質性異常陰影を有していることは、タルクによる胸膜癒着術後のARDS発症の危険因子であるようだ。

Old age and underlying interstitial abnormalities are risk factors for development of ARDS after pleurodesis using limited amount of large particle size talc.
Respirology. 2018 Jan;23(1):55-59.
# by eijurespiratory | 2017-12-09 10:00 | その他

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